失認(しつにん)とはある一つの感覚を介して対象物を認知することができない障害のことである。視覚、聴覚、触覚などの他、病態失認や半側空間無視なども失認に含まれる。高次脳機能障害のひとつである。
失認という病態が本当に存在するかという点に関しては疑問が投げかけられている。神経心理学では失認とは要素的感覚の障害、知能の低下、注意障害、失語による呼称障害、刺激に対する知識のなさ(なじみのなさ)いずれにも帰することのできない対象認識の障害と定義されている。しかもその障害は特定の感覚に限ったものであり、他の感覚を介せれば認識が可能でなければならない、と定義されている。
視覚失認では要素的感覚障害がないのにも関わらず視覚的に提示された刺激を理解できない状態である。古典的な神経学のモデルでは視覚的に提示されたものの名前を言う時に3つのプロセスがあると考えられていた。
認知ひとまとまりの表像として把握する段階と関係深い知識を呼び起こし最終的に意味概念と結びつく段階がある。
呼称結びつけられた概念を言葉にして音声として発する段階である。
このうちの認知のプロセスの障害が視覚失認であり、ひとまとまりの表像として把握する段階の障害と意味概念と結びつける段階の障害で2種類の病態があると古典的には考えられた。 ...
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